私がこの業界に入った45年前の家は、左官の塗り壁と洋間は合板の壁の家が多かったです。
築20年位経った家を売りたいというので、見に行ったことが有りました。
外観や室内はそれなりに古くなっていましたが、洋室だけは新築のままのような感じなのです。
それは、洋室の壁がツキ板合板だったのです。
特にツキ板合板の壁は、新築時の状態を保ったまま、変化をしない材料でした。
ツキ板合板とは、本物の木を薄くスライスして貼った合板です。
今の家は、壁も天井もほとんどクロスです。安価で施工しやすく、種類も多いので仕上げ材としては一番多く採用されています。
ただ下地の影響を受けやすく、割れたりゆがんだりしやすい材料です。
木造住宅は特に、下地の木が動く可能性が有るため数年経つと表に出やすくなります。
という事で私は一時期、しっくい塗りをお客様に勧めたとこが有りました。
しっくいは呼吸する壁と言われ、二酸化炭素を吸収し調湿作用もある材料なのです。
しかし、しっくいは材料代が高く、左官に塗ってもらうとかなり高額な予算になります。
そこで、お客様にリビングなどを自ら塗ってもらい、予算をかけずに快適な家にするようにすすめたのです。
でも素人が塗ると仕上がりがきれいにならないと思われますね。
それはそれで味のある仕上がりになります。そして自分達も家づくりに参加したという満足感や思い出にもなります。
しっくいは、汚れたり割れたりしても、その部分の上にまた塗ればきれいになります。
クロスばかりで無く、少し違った材料を使ってみては?
平家研究家 桧垣 幸夫